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ショウジョノトモ

小さな告白がひとつ。いや、実はふたつ―。
ひとつは私はとてもぐずぐず屋でありつつ、完壁主義者ということ。そして、このことはあんまり公の場では言いたいことじゃない。でも、ホントのこと。私の母もウソつきは嫌いだったし。

そして2つめ。あなたが今観てる画面の一番右下の赤いボタンを押してしまいたくなるかもしれないくらいのこと。 わたしが行ったインタビュー、そして解決しなければならない課題・・・考えたんだけど、私は「ショウジョノトモ」が好きじゃないってこと。
 よくJF.comに来てくれる皆さんは私よりも、雑誌「Kera」やSonyのPlaystationの広告や表参道通りのそばにある"Astro Vision"によくフューチャーされている幻想的なアーティスト、トモに馴染み深いと思う。それに、彼女のブランドがニューヨーク、イギリス、スペイン、パリに渡っていることも知っていると思う。彼女の作品のラフォーレでの展示会も、その他のフォーラムでも彼女はベストを尽くして取り組んでいる。 もし、あなたが日本のストリートファッションや、現代のアートムーブメントに関心があるなら、今回はちょっと違うかもしれない。今回私が書いたものは、その他の人むけということ。役のために書いたというところかしら。
もしかしたら、あなたは私に「なんでこんな並外れたアーティストを嫌いだというのか信じられない」というかもしれない。おそらく私は彼女の成功に嫉妬してるかも。または彼女のアプローチが庶民的過ぎると思っているのかも。はたまた、単に私は彼女のアートワークを理解できずに、この現代のポップアートのルールを壊すような創造的な感覚を理解することが望めないのかも。だけど、私にこの課題は与えられた。この8月の半ば。私はこの課題をこなすことだけを考えていた。
「ウチらいつもここで会うんだ」
ノブユキはそう言って、私の正面、ウエンディース北側の階段の傍の席に腰掛けた。

アメリカン雑貨とか、サンディーブラウンのテーブルトップ、黄土色のナプキンが置かれてた。お昼時だったけど、そんなに混んでいなかった。この日ほど私が緊張してた日はなかった―。
「緊張してんの?」
ノブユキはこれからやってくるゲストのためにバッグを移動しながら聞いてきた。 普段よりもすばやく私の緊張に気づいてた。

「私、いつだって緊張しいじゃない?」
そう答えて
「何度もこんな感じなのに気づいてないの?」
ノブユキは肩をすくめて

「緊張してるようには見えないけど」

私はフライドポテトが冷める前に「ケチャップが必要」なことに気づいてダッシュで一階へ降りてとりに行った。 戻ってくると、お年寄りの女性が持っていたコーラを茶色のタイル張りの床へ落としてしまっていた。
「お先にどうぞ」
彼女は私にそう言って、自分がコーラをこぼしてしまったということに困惑しているのか、誰かに伝えなければいけないということからか恥ずかしそうに見えた。
私は窓際の席に戻り、レコーダーの確認を2、3度した。外を見ると、天気予報では晴れの中行われる予定だった六本木通りのお祭りが曇りの中行われて、人々が麻布十番を歩いているのが見えた。
私はまた時計をみた。彼女はまだ来ない。
2、3分後、恐れを知らないリーダーがエントランスの方に向かって撃つ真似をした。 私は振り向く必要もなく彼女が来たことが分かった。いや、彼女が来たことを感じた。本当にレストラン全体が感じたのだ。彼女は2つの大きなカバンを小柄な体の両脇に抱えていた。彼女がつけていた大量のネックレスやアクセサリがじゃらついて、イスに座るとき彼女の体の中心で大きくスイングしていた。 ノブユキはすでに立ち上がって、彼の新しいライター、この日にインタビューするキンバーを紹介した。私は日本の作法には3歳児くらいのレベルなので、気まずいながら立ち上がった。 私は若者達はそんなに厳しい礼儀作法を要求はしないとわかっているけど、、さらにすがすがしい展開がこの後待っていた。 
私はなんらかの安らぎをトモに感じた。
「彼女若そうだけど?」
彼女はノブユキに言った。そして私のほうに向いて
「いくつなの?」
「24歳です」


「若いね」
彼女は特に誰に言ったというわけでもなかった。 彼女はテーブルの上の食べ終わったハンバーガーを見て、とりあえずダウンステアーでオーダーしようと席を立った。 私はごちゃごちゃな頭の中で、コーラが招いた混乱が避けられるのを願った。数分後、ショウジョノトモの前には、フライドポテトとフロスティーがセットされた。私の方も質問する準備が整った。


「今回JF.comとのインタビューは初めてじゃないんですよね?」
私は聞いた。"キャプテン"にも明らかに。


「いいえ」優しくつややかな声で彼女は答えた。
「ちょっと前からの知り合いなんです」
とノブユキにうなずいた。


「いつからデザインを始めたのか教えて」
Cheshire's grinを持ちながらノブユキが私を補助した。


「ああ、そうね。私、東京からちょっと離れたとこで育ったんだけど、」ポテトを口に運びながら言った。
「ウチの母親は私のことを変な子だと思っていたの。私はゴミを拾いながら学校へ行ってたの。そのゴミの話を創るために。 私の母はいつも『なんでいつもこんなことするの!?』って怒って。学校ではいつも皆私のこと笑ってた。皆すごく頭がよかった姉のほうが好きだったから。でも私、絵を描くのがうまかったから、『よし、そのために学校へ行こう』って思ってた」
それがきっかけで、学校に行くため彼女は大きくなってからニューヨークに何回か滞在した。彼女はブルックリンのケントアベニューの近くに住んでいた。 それが会話のドアをあけるきっかけになった。彼女と私はニューヨークで共通の場所を知っていたり訪れていた。

「ニューヨークでの生活は良かったけど辛かった。すぐにお金なくなっちゃって」

彼女は自分の勉強のため、経済的負担が軽い郊外へうつることにした。またいつか戻ってきたいという願望をいだきつつ。

私はいつから今の名前(ショウジョノトモ)がついたのかを聞いた。
「それは早い時期から」
彼女は天を見上げ、
「でも、みんな間違って訳したの。友達でさえも。ただ『小さな女の子のトモダチ』っていうふうに捕らえてた」


「どういう意味?」

恐る恐るきいてみた。

「少女の心ってこと」

トモは私をじっと見て言った。

私はトモが若くてまだまだ傷つきやすくて、夜の橋の向こうをじっと見つめているトモのイメージが浮かんだ。 私は彼女の周りの人に対してや、彼女自身の葛藤に気づいた。それに気づいた瞬間、彼女の周り、そして彼女さえ、「名前のないなにか」に到達しているイメージが湧いた。たとえば、ハドソン川の反対側にすんでいる人々も辿り着けないようななにか。

そして、私の、彼女の魅力への抵抗は揺らいでいった。
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